《つくり手さんインタビュー!》「コーヒー屋パラディーゾ」後藤さん/「Rainbow Cafe」石寺さん

 どっどど どどうど どどうど どどう

 青いくるみを吹きとばせ

 すっぱいかりんも吹きとばせ

  ―― 宮澤賢治『風の又三郎』より

 山間の自然豊かな福栄地域のなか、今はしずかに佇む旧福栄小学校は、風の又三郎にでてきても違和感がないような雰囲気をもっています。小さな教室が並ぶその校舎の一角にある図書室。そこに今回一日限りでオープンするのは、『コーヒー屋パラディーゾ』の後藤康之さんと、『rainbow cafe』の石寺香織さん、お二人の協力で実現したお店。懐かしい児童書と一緒に、美味しいコーヒーや焼き菓子が楽しめるブックカフェです。

 花が、なぜ、さんざ苦労して、

 なんの役にもたたないトゲをつくるのか、

 そのわけを知ろうというのが、

 だいじなことじゃないっていうのかい?

  ―― サン=テグジュペリ

     『星の王子様』より

 個性的で魅力あふれるコーヒーを淹れてくれる後藤さん。苦労していることを聞いてみると「多くの一次産業と同様、コーヒー生産も普通にやっていたら生活が難しいもの。だから生産者さんは、今までよりもプレミアムを付けた価格で取り引きされる高品質なコーヒーを精魂込めて育てています。しかし、それが理解されず工業的に作られた安価なコーヒーに押され、廃業する方も多い。そうならないよう高品質コーヒーの美味しさを知ってもらい、価格に納得して買ってもらうことが必要で、その辺りを伝えるというところにいつも苦労しています」との答えが。その言葉には、一途に淡々とコーヒーを淹れている後藤さんの姿からは想像できないほどの熱いパッションが込められているのを感じました。

 さて、パッショニスト後藤さんの今回のメニューはというと、じっくりコーヒーの違いを楽しんでほしいと、沢山の種類のコーヒーを500円で飲み比べができるよう準備中とのこと。同じ国でもエリアが違ったり、精製方法が違うことで全く風味が違うので、多様性を楽しんでほしいそうです。また、マイカップ持参の方は50円引きになるので、ぜひお気に入りのカップ持参でいらしてくださいね。

 私はここで生きることに最善をつくすわ。

 そうすれば、いつかきっと最大の収穫が

 自分にかえってくると思うの。

  ―― L・M・モンゴメリ

     『赤毛のアン』より

 「ふと入ったら意外と居心地よくて、思ったよりゆっくりしちゃった! というような空間、雰囲気づくりと、身体も嬉しくてワクワクするようなお菓子を作りたいって思ってるの」と、きらきら笑顔で話してくれたのは石寺さん。その思いがつまったお店は、酒田市にあり、外観も内装も◎でとってもおしゃれ。なんとこのお店、自分達で1年かけてゆっくりとリノベーションしたものなんだそう。さらに、現在は裏の畑づくりやハウス建ての真っ最中とのことで、これからもっと素敵なお店になっていく予感が満載です。

 そんな素敵なお店から石寺さんが持ってきてくれるのは、スパイスやハーブ、麹などを使った手づくりの焼き菓子と、オリジナルのブレンドハーブティ。「身体があったまった~」「ゆっくりした~」とお客さんからも好評だそうです。「Rainbow Cafeさんの焼き菓子は、ハーブや麹を使っていたり、オリジナリティがあって楽しい。甘さも控えめなのでコーヒーにもよく合います」と後藤さんの太鼓判つきなので、コーヒーと一緒に召し上がってみてはいかが?

 人間はひとりひとりがそれぞれじぶんの

 時間をもっている。そしてこの時間は、

 ほんとうにじぶんのものであるあいだだけ、

 生きた時間でいられるのだよ。

  ―― ミヒャエル・エンデ『モモ』より

 (こっそりと)今回のブックカフェ、実はすっごく贅沢なんですよ。目で本を、口でコーヒーやお菓子を、では耳は?というと、音楽イベントを主催するほど音楽好きな後藤さんセレクトのBGMを。目で、耳で、口で、そして心で。来てくれた方が豊かな気持ちになれる時間を提供いたします。

(文:長谷川 恵)

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こしゃって山のがっこう祭

日時:2017/10/9 月・祝 

マルシェ&ワークショップ10:00~15:00

音のステージ・フィナーレ14:30~16:00

イベント詳細はこちらから↓

goo.gl/K2Acmm

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くしびきこしゃってプロジェクト

“こしゃって”は庄内弁で“作って”の意。 「こしゃってマルシェ」をはじめ、庄内・鶴岡の暮らしをちょっと楽しく、ここにある豊かさをみんなで味わう“もの”や“場”をこしゃっています。